金属スクラップ業を巡る法制度が大きく変化している。先月1日に全面施行となった金属盗対策法により銅を買い取る事業者は公安委員会への届け出が必要となったほか、先月12日に国会で成立した改正廃棄物処理法では金属スクラップ全般の保管・再生業に都道府県知事の許可を必要とした。犯罪防止、生活環境保全など規制の趣旨は違うが、その背景には不適正な事業運営を行うヤード業者の存在が社会問題化していることが挙げられる。不適正ヤードを撲滅すべく、従来は自由に参入できた鉄スクラップ業は規制業種に転じる。
廃棄物処理法(正式名称「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」)は1970年(昭和45)に成立した。当時、廃棄物の野外焼却や空地への埋め立てなどによる環境汚染が問題となる中、し尿処理を目的としていた清掃法を全面的に改正して同法が制定された。その後も廃棄物を巡る問題に対応し、同法は目まぐるしく改正されている。
今回の改正による最大のポイントは、同法の目的を定めた第1条の変更。従来は「廃棄物」のみの適正処理が規定されていたが、これを「廃棄物並びに要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び要適正再生使用済金属・プラスチック物品」に改めた。
従来、有価で取引される資源として金属スクラップは同法の対象外だった。しかし、第1条の改定によって、金属スクラップ全般が使用済みプラスチックとともに同法で適正処理を求める対象に含まれた。
また、今回の改正により、第四章の雑則の後に「第四章の二」として「要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び要適正再生使用済金属・プラスチック物品」に関する規定を新設。第24条に枝番号を付ける形で条文を追加している。
金属スクラップヤードに対する規制強化は、一部の不適正な事業者による騒音や水質・土壌汚染、火災などの発生の多発が起点となった。環境省の2025年度調査では全国に4625の事業所があり、275件の支障が報告されている。一方、自治体によって把握状況には濃淡があり、実際にはこれを上回る事業場や支障の発生件数があるとみられる。
不適正ヤードを撲滅する目的で、今回の改正法では金属スクラップヤード全般を対象とする「許可制」が新設された。具体的には第24条の7などで「要適正保管使用済金属・プラスチック物品保管業又は要適正再生使用済金属・プラスチック物品再生業を行おうとする者」は「都道府県知事の許可を受けなければならない」と規定された。
また、同事業者は政令で定める保管基準や再生基準の順守が義務付けられた。
順守すべき基準については、環境省が設置する検討の場で議論される。日本鉄リサイクル工業会は検討の場に委員として参加することを環境省と確認している。また、環境省も保管・再生基準の設定に当たっては「適正な事業者が対応できない基準とならないよう、関係業界の意見にしっかり耳を傾けて検討する」としている。
具体的な保管・再生基準が示された後、鉄スクラップ事業者には基準に適合した施設整備を自主的に進めることが求められる。
環境省では公布から2年6カ月以内とされる法施行日までを「ヤード事業者が環境整備を進めるための準備期間」と位置付ける。そのため、まずはヤード業者の判断材料となる保管・再生基準を早期に示したい考え。
改正法では法施行前でも許可申請は可能で、都道府県知事も法施行前に許可を出すことができると規定されている。
石原宏高環境相は先月11日の参議院環境委員会で「法施行時には全てのヤード業者が許可取得または許可申請の状況を目指す」と語っている。



