丸紅テツゲンメタルズが、きょう4月1日付で発足した。鉄スクラップや合金鉄などを扱う「丸紅テツゲン」と、非鉄製品や非鉄スクラップを扱う「丸紅メタル」が統合。これまで独自に歩んできた両社が新会社として事業領域を拡大し、収益力を強化して成長を加速させる。丸紅テツゲンメタルズは4本部の組織体制とされた。新会社を率いる秋山邦彦社長と、池田崇輝非鉄軽金属本部長、辻洋司金属鉱産本部長に今後の事業戦略などを聞いた。(小堀智矢、遊佐鉄平)
――本日、新会社が発足した。社長として抱負を。
「大きな役割と職責を任せられた。2018年4月に丸紅から丸紅テツゲンに移り、まる8年。22年4月に丸紅テツゲンの社長に就いてからは4年。長い経験はあるが、新たな挑戦に身の引き締まる思い。気分を一新して社業に力を尽くす。個人的には今年で還暦。丸紅時代も含めた事業経験の集大成として頑張りたい」
――統合の経緯と狙いについて。
「丸紅テツゲンと丸紅メタルは、ともに丸紅の金属部門傘下の国内事業会社であり1980年代に設立し歴史と実績を築き上げてきた。丸紅は昨年度スタートさせた中期経営計画『GC2027』で大きな方針の一つとして、事業会社の収益力強化、成長加速を掲げている。少子高齢化といった構造的変化を受け内需減が続く厳しい外部環境に両社も直面する中、この方針に沿って、両社が統合によって規模・事業領域を拡大し、さらに機能・人財も拡充し成長加速を実現していくことを決断した。これまで両社は個々に成長戦略を策定していたが、両社の管理部門も統合することで経営資源を充実させ、成長戦略も一本化する。人財やバックオフィスのサポート体制を充実させることで成長加速に向けた基盤を構築できた」
――新会社の概要を。
「四つの本部(管理本部、金属鉱産本部、金属リサイクル本部、非鉄軽金属本部)の組織とした。新会社の年商は、両社の合算で2200億円規模。人員は約170人(丸紅テツゲンが約90人、丸紅メタルが約80人)となる。東京本社に大阪の西日本支社、名古屋の中部支社、仙台の東北支店と国内4拠点でスタートするが、今年度中には九州支店を開設する。九州では大型電炉の計画や半導体工場の拡大、自動車生産の集約など当社事業に関わる産業において商機があるとみている」
「海外に関しては、丸紅の拠点も活用し、丸紅テツゲンはブラジル(リオデジャネイロ)と台湾(台北)、丸紅メタルは中国(上海)とタイ(バンコク)、米国に駐在員を置いていた。新会社になったことで両社とも海外拠点が増えた。また、インドでの事業強化を図るため、今月からムンバイにも人員を配置する。海外市場を開拓すべく、戦略を体系的に進めていきたい」
――統合によるシナジーについて。
「両社の統合を象徴するのが新設した『金属リサイクル本部』だ。丸紅テツゲンで主に鉄スクラップを扱っていた製鋼原料本部と、丸紅メタルで銅・アルミの非鉄スクラップやアルミ再生塊などを扱っていた人員が同本部に結集した。人員は40人強になる。うち丸紅テツゲンの製鋼原料本部が30人強、丸紅メタルからは10人前後。鉄・非鉄スクラップを一つの本部で扱うことにより、リサイクル事業を拡大していく。丸紅メタルは拠点が東京と大阪だけだったため、全国展開が難しい面があった。まずは丸紅テツゲンの人員も活用しながら、ビジネスチャンスを拡大させる」
――「金属リサイクル本部」が力を入れる取り組みは。
「国内の鉄鋼メーカーは減産基調にあり、厳しい事業環境が続いているが、脱炭素の流れは変わらない。高炉メーカーの大型電炉の計画だけでなく、生産能力を増強する電炉メーカーもある。我々が長年扱ってきた鉄スクラップは貴重な都市資源として今後、ますます商品価値が上がっていく。そうした中、当社として鉄スクラップの安定供給を目的に扱い量を拡大していきたい。これは銅、アルミなどの非鉄スクラップも同様。製錬メーカーや、アルミ再生塊メーカーなどにスクラップを安定供給していく。鉄・非鉄スクラップの安定供給を通じた金属リサイクル事業の拡大は新会社にとって最大の挑戦。そのためにはぜひ、貴重な資源を扱うリサイクル事業者と、より強固なパートナーシップを構築していきたい」
――鉄スクラップの輸出事業に関しては。
「現状は国内需要が低迷しており、余剰となったスクラップの輸出にも力を入れている。リサイクル事業者の皆さまのお役に立つことも当社の役割と認識している。一方、将来的に国内需要が拡大するとなれば、日本の貴重な資源を有効活用することが重要と考えており、そうした需給調整の役割もあると感じている」
――新会社が目指す姿は。
「環境・リサイクル・先端技術をテーマに、営業を担う三つの本部が、それぞれの事業分野で勝ち筋のトレードを拡大し、新たな事業化と開発案件を進める。統合によって、より幅広い領域の社会課題やニーズを把握し、新たなビジネスを通じて自律的に価値創造する会社を目指す」
「具体的には、トレード事業の磨き込みと新規事業を推進する。丸紅テツゲン、丸紅メタルとも、ここ20~30年間はトレード中心に事業を強化してきた。新会社では、既存トレードの拡大に加え、新規の商品開発や事業化案件の発掘、推進を行う新規事業推進室の陣容を強化し、丸紅の金属部門とも連携しながら新規事業を推進する。成長加速に向けた大きな変化であり、新会社の特徴にもなる」
「鉄スクラップ事業の新規案件としては、国内で集荷ヤードやシッピングヤードの開設を検討している。現状では名古屋と大阪に拠点はあるが、将来に向けた集荷対策として今年度中に、関東地区でのヤード開設を実現したい」
――新会社の目標は。
「丸紅テツゲンは3年前に事業計画『ビジョン2030』を策定し、丸紅メタルも昨年より中期経営計画をスタートし業容拡大を進めてきた。新会社は統合効果を最大限に生かした新たな中期計画を策定し、成長加速と収益拡大を実行力とスピード感をもって進めていく」
「新会社は、事業規模拡大に伴い丸紅からの出向者も増員し、新たに経営企画部を立ち上げたほか、人事室を人事部に格上げするなど、成長を支える管理体制も構築したので、あとは実行あるのみ。お客さまのニーズと期待に応えられるよう社員一丸となって取り組んでいきたい」





