――金属鉱産本部の概要を。
「当本部の扱い品目は多岐にわたる。フェロシリコンやフェロクロムなど鉄鋼・ステンレスの副原料である合金鉄が中心となるが、合金鉄製造に必要となる鉱石も扱う。焼結部品の主原料となる鉄粉や、黒鉛、各種鉱産物など旧丸紅テツゲンの金属鉱産本部が扱っていた品目をそのまま引き継いた形だ。当本部の組織も金属鉱産第一部、同第二部、同事業部の三つの部を傘下に置く体制で変わらない。人員は海外駐在を含め30人弱。当本部が引き継いだ事業領域は従来通りだが、新会社となったことで得られるバックアップやリソースはより強固になった」
――金属鉱産本部を取り巻く事業環境について。
「主力品目である合金鉄など副原料の事業環境は非常に厳しい。一言で言えば〝構造的な逆風〟にさらされている。副原料の需要は粗鋼生産量に連動するが、2007年に1億2千万トンあった日本の粗鋼生産が25年は8千万トン。今後はさらに下振れが見込まれる」
「構造的な逆風はこれに止まらない。合金鉄で例を挙げれば、ロシアからの輸入品が扱えなくなったり、環境規制など諸要因により中国からの調達が難しくなったり。ある日を境に供給ソースが様変わりすることがある。フェロクロムは南アフリカ共和国が世界最大の供給源だが、電力価格の高騰によって合金鉄の調達が難しくなった。これまでアロイ(合金)を製造・販売していた現地のサプライヤーは今、鉱石を売って利益を得ている」
「当本部は今後の地政学リスクなどを勘案しつつ、世界の中でどのような需給変化が起きるのか、絶えず他社に先駆けて手を打たなくてはならない。そうしなければ、新たな需給の流れに入れない。一方、需給構造の変化を他社より早く捉えられれば、新たな商流に入る好機ともなる」
――力を入れる取り組みは。
「国内の需要家である鉄鋼メーカーは、より高付加価値な製品の生産に軸足を移している。高付加価値な鉄鋼の製造には高付加価値な副原料が必要。これを我々が納入していくことがキーポイントになる。高付加価値な副原料などを確実、安定的に供給するとともに、有事のバックアップ体制を整えていく。アフターケアを含め需要家のニーズに総合的に応えていく。コストメリットにつながるアイデア型の原料も創り上げていきたい」
「脱炭素の動きは合金鉄にも必ず及ぶ。それに備え、CO2排出量の見える化、カーボンフットプリント(CFP)を今から準備していかなくてはならない。グリーンな合金鉄の開拓なども先駆けて準備が必要だ」
――〝構造的な逆風〟への対応策は。
「国内需要縮小という〝構造的な逆風〟の前では、高付加価値の追求だけで取引縮小に歯止めをかけることは難しい。やはり新規の事業投資を含めた取り組みを通じ、サプライチェーン全体の中で需要家に対して役割を担っていく必要がある。〝丸紅テツゲンメタルズに頼らないと得られない価値〟こそが、取引を拡大していく上でキーワードになる。価値を生み出すためにも事業ポートフォリオの見直しを図っていく」
――海外展開については。
「日本の粗鋼生産は減少傾向だが、世界の粗鋼生産は緩やかに増える。東南アジアやアフリカを中心にインフラ関連の鉄鋼需要は堅調だ。旧・金属鉱産本部はこれまで国内の取り組みが中心だったが、今後は海外にも目を向ける。これは事業ポートフォリオ変更の一つでもある。現状で海外駐在はブラジルと台湾、インドだが、ネットワークを拡充していく」
――今後の目標や、目指す本部像は。
「当本部は今後、新たな分野で成長・発展し、規模を拡大していかなくてはならない。事業環境は厳しいが、鉄鋼メーカーなどへの販売シェア拡大を図っていく。新規事業投資などを通じて従来の事業に厚みと付加価値を生み出し、成長していくという方向性だ。他本部とのシナジーはもちろん、統合は『1+1=2』ではなく『=3』にすることを目指している。新規事業投資を含めポートフォリオ変更を大至急考え、来るべき脱炭素社会の到来をも見据えながら成長を図っていきたい」




