2015年秋の「創立60周年祝賀会」にて(東京・西麻布)
2015年秋の「創立60周年祝賀会」にて(東京・西麻布)
2015年秋の「創立60周年祝賀会」にて(東京・西麻布)

 城北鉄交会は、1954年(昭和29)2月に誕生した。足立、荒川、板橋、北、豊島…といった東京の城北エリアで鋼材商を営む当時の若手経営者・店主ら10人ほどが集まり「同業者同士、ヨコのつながりを持とう」と集い、発会式を行ったと文献に残っている。

 55年(昭30)に東鉄連が発足して早々の56年(昭31)12月に東鉄連に加入。これを「会の創立」とし、創立時の会員数は35社だった。初代会長は加藤五兵衛氏(加藤五兵衛商店)。以後、現在の角田泰幸氏(角田工業)まで12人で会長のバトンをつないできている。

 創立時の会則に「本会は会員相互の親睦を図り、商道徳の刷新と同時に従業員の質的向上を図ることを目的とする」と記述してある。

 この「創立の精神」に則り、会員相互の親睦を第一に掲げながら歴代の会長をはじめ役員およびその時々の会員が運営を指揮・協力してきたことで歴史を刻んできた。そして「全員参加」を呼びかけ、それに呼応してきた結果、種々の定例会の出席率が常に高いのも、会の特長と言える。

 その主な事業活動だが、景況や業界の情勢に関する情報交換会、講師を招いて種々の事柄について学ぶ勉強会のほか、懇親旅行会や新年会、ゴルフコンペ、ボウリング大会などの親睦行事が主体。

 長年のおつきあいによって構築した会員相互の信頼関係がベースにあり、会員数こそピーク時の40社近くだった頃に比べて現在は18社と半減したが「会員同士の仲が良く、和気藹々とした雰囲気ができている」と角田会長も語気を強める。そしてメンバーの業種・業態や規模も多種多様だ。コイルセンターやシャーリング専業、レーザ加工や曲げ、穴あけ、溶接・組立までの一貫製作、各種一般鋼材の小売り、丸鋼やシャフト材を含む特殊鋼の加工・販売、ステンレス取り扱いなど。

 全国規模の系列大手もいれば、社歴100年を超える老舗もいる。海外事業展開を試みたり、小規模ながらM&Aによって業容を拡大・深掘りさせたりした会員もいれば、特定品種に特化してよそに無い規格・サイズを豊富に常備し業界で一目置かれる販売大手も。実にバラエティに富んでいるのも特長のひとつだが、共通しているのは「決して派手さはないが堅実経営で幾多の景気浮沈を乗り越えてきた〝実直でしたたかな鉄屋さん〟の集まり」ということ。

 そして会の運営を下支えし、盛り上げてきたのが、会員企業に所属する若手経営者や幹部社員を中心に構成する下部組織「城北ジュニア会」の存在だ。07年に、当時の若手二世三世あわせて計18人で結成し、独自の活動や親会事業への協力などを行ってきた。

 現・角田会長や前会長の奥澤公明氏(奥澤産業)もジュニア会の出身であり、いまや本隊運営の中枢に立つ人財排出にも貢献する。

 ただ、直近では総勢10人まで減員したことを理由に昨年度の総会で「一時休会」となる。それでも奥澤、角田両氏に次ぐ会の次世代を担う若手は着実に育っており、使命はしっかりと果たした。

 会では今、間近に控えた創立70周年記念事業について検討中。