2024年度のスチール缶リサイクル率(スチール缶リサイクル協会発表)は94・4%と11年度から14年連続で90%以上を達成した。21年度から5年の期間で始まり、25年度を目標年度とする自主行動計画2025(第4次自主行動計画)で掲げるリサイクルの数値目標(93%以上維持)も超えた。スチール缶リサイクルは何にでも何度でもさまざまな鉄鋼製品に生まれ変われる「クローズドループリサイクル」で、熱回収やカスケードリサイクルといった「オープンループリサイクル」に比べ、より天然資源の新規投入量や廃棄物の削減に貢献している。

 スチール缶の消費重量が約29万3千トン(23年度は約32万8千トン)に対し、鉄鋼原料に再資源化された重量は約27万6千トン(約30万7千トン)だった。一連のリサイクルによって約35万3千トンの二酸化炭素排出削減に寄与しているという。

 スチール缶のリサイクル率は、スチール缶の販売から回収、再利用されるまで3カ月かかると想定し、消費重量(対象24年1~12月)と回収・再資源化重量(24年4月~25年3月)のデータを基に取りまとめる。全国の電炉メーカーや高炉メーカー、鋳物メーカー、ペレットメーカーなどにスチール缶スクラップ(Cプレス・Cシュレッダー)の利用量についてアンケート調査を実施するとともに、鉄スクラップを取り扱う事業者でスチール缶スクラップをシュレッダー処理後、スチール缶スクラップ以外の規格で再資源化し、製鋼原料として売却した量(調査で把握できる量のみ)を集計。飲料缶用のアルミふたの重量や水分などの異物を除き算出する。

 スチール缶をめぐっては、飲料用の分別や再資源化が広く社会に浸透しており、815市区への調査によると、全国で97%以上の自治体が分別収集の対象としている。高品質なスクラップとして高い評価を受け、全国の鉄鋼メーカーが安定的に使用する一方、国内の発生分は製鉄原料として再資源化されており、基本的に輸出には回らないという。

 スチール缶の一部は、全国の鉄スクラップ事業者において高付加価値化の一環でシュレッダー処理され、鉄鋼メーカーがスチール缶スクラップ(Cプレス・Cシュレッダー)以外の規格で受け入れている。2009年度からはこの一部を調査して再資源化の重量に加えている。