吉川金属が提案する防災キャビは災害時の停電でエレベーターに閉じ込められた際、救助までに必要な備品を備えている。

 商品開発の契機は2011年に起きた東日本大震災だった。首都圏等でエレベーター閉じ込めや帰宅困難者が多数発生したことが教訓となった。

 実際、エレベーター内に長時間閉じ込めされた間は様々なことが想定される。「閉鎖空間で、空腹による体力消耗」、「暑さ、寒さによる体調不良」、「トイレ等の生理現象」、「外部との遮断による情報不足」等。

 防災キャビの特徴は防災用品を備蓄する保管機能。素材は意匠性に優れたステンレス製だ。さらに工事不要でマグネットで手軽に固定が可能。装飾用シートを貼ることで様々なカラーバリエーションに対応する。

 形状はフラットタイプ、コーナータイプ、座れるタイプの3種類。オフィスビル、商業施設、マンションなど設置台数は4500台を超える。19年には国交省が公共施設に対し、エレベーター防災キャビネットの設置を推奨した。

 営業担当者は「防災キャビは保険商品と同じく、設置しておくことが安心感につながる。入居者に対しBCP(事業継続計画)に取り組んでいることや建物の価値を高めることを訴え、ひいては福利厚生の一環にもなる」と提案する。