毎年3月の恒例行事として定着したボウリング大会(2025年3月)
毎年3月の恒例行事として定着したボウリング大会(2025年3月)
☆東鉄連構成団体
☆東鉄連構成団体
毎年3月の恒例行事として定着したボウリング大会(2025年3月) ☆東鉄連構成団体

 東鉄連は、正式名称の「東京鉄鋼販売業連合会」にあるとおり「連合組織」であり、現在、都内に存在する鉄屋の地区団体(7団体)と業種団体(2団体)を合わせて計9団体で構成する。地区団体は協同組合京橋鉄友会、本所鉄交会、神田鉄栄会、城南鉄鋼会、亀戸鉄睦会、城北鉄交会、江戸川鉄栄会。業種団体は東京鋼板シヤー組合と東京鋼管会。ここでは、東鉄連を支え、歩調を共にするこれら構成団体をそれぞれ紹介する。

 協同組合京橋鉄友会が発足したのは戦後間もない1951年(昭26)6月。翌52年1月に開催した初総会に先立ち、有志10人程度で臨んだこの時の結成会合が事実上の誕生として捉えられている。

 鉄友会の源流は、大正年間に創設し戦前まで存在していた「京橋区鉄商組合」といわれる。水路が巡り船便も多く、当時は地価も安かった東京都の京橋・八丁堀かいわいに鋼材流通業者が事務所を構えるようになり、問屋街が形成された。

 契機となるのは発足前年の50年に勃発した朝鮮戦争。特需により鉄鋼業が活況を呈する中、この地区の鉄商たちが大同団結した。77年には法人格を持つ協同組合に改組し、代表者の呼称も「会長」から「理事長」に変更。上部団体の全鉄連や東鉄連の会長も多く輩出し、両団体の創設期を担う団体として鉄鋼二次流通業界をまとめる一翼を担ってきた。現在は商社なども含む60社が加盟。構成9団体では最大規模を誇る。

 初代会長には本間梅吉氏(本間商店)が就任。以降は2代・大川辰夫氏(芝浦シヤリング)、3代・吉岡幸男氏(中央鋼材)、4代・中村昌夫氏(中村鋼材)、5代・大川宏之氏(芝浦シヤリング)、6代・久富順平氏(中央鋼材)、7代・佐藤芳丸氏(佐藤鉄鋼)、8代・掛布誠治氏(宮田鋼材)、9代・田中義昭氏(新建商事)、10代・中村昭夫氏(中村鋼材)、11代・市野勝昌氏(入船鋼材)、12代・神島勉氏(千曲鋼材)とたすきをつなぎ、2023年には第13代・大川伸幸氏(芝浦シヤリング)が就任。祖父の辰夫氏、父宏之氏に続き親子3代でトップを務めている。

 若い世代に伝統を受け継ぐ基盤も整っている。10年には若手経営者や将来の幹部候補社員で構成する下部組織「京橋鉄朋会」を立ち上げた。事務局がある「鉄砲洲」の地名にあやかり、「友」を連想する「朋」を加えた。

 鉄朋会は毎年恒例のボウリング大会など、いくつかの年間行事を運営・進行。親会が最も重視する「懇親」の精神を広げるべく、各種行事も企画し連携を深めている。

 京橋鉄友会の大きな特色は、交流事業の多彩さだ。四季を通じて親睦や講習・講演、鑑賞などをテーマに、スポーツや芸能・文化に接する場を提供。自前の事務所を最大限に活用し、社員も対象にした部活動も盛んで知られる。直近では落語や音楽・演劇の鑑賞会、絵画やヨガの教室、ゴルフやボウリングなどに加え、4月には観光バスを貸し切って桜の名所を巡る花見会も開催。恒例の野球大会には各社の精鋭が熱戦を繰り広げ、今年は59回目と〝還暦〟も間近だ。

 ホームページも会単体で制作。各種行事の紹介など、積極的な情報発信にも余念がない。参加者の世代や所属企業の肩書を問わない家族的な雰囲気を大事にし、恒常的に会員企業の関係者が会の行事に参画する流れが定着している。

 21年に予定していた設立70周年の記念行事は、コロナ禍のためあえなく中止を余儀なくされた。会員企業は気持ちを切り替え、次の節目に向けて前進する。

 大正から昭和、平成、令和と四つの時代を経て周囲は大きく様変わりした。街並みは変われど、京橋の地で培った鉄屋の商魂と和の礎を後世に伝えていくのが使命だ。