創立70周年記念祝賀会にて。歴代会長と井上東鉄連会長(左)がケーキ入刀
創立70周年記念祝賀会にて。歴代会長と井上東鉄連会長(左)がケーキ入刀
創立70周年記念祝賀会にて。歴代会長と井上東鉄連会長(左)がケーキ入刀

 亀戸鉄睦会は、亀戸を中心とする城東エリアで鋼材、鉄スクラップ、中古機械を扱う「金(カネ)ヘン3業種54社」によって1952年(昭和27)11月に発足した。

 この地はもともと水運の便が良く、埋め立てに適した広い土地も豊富。都心に近い割に土地代が安いという好条件が揃い、重厚長大系の製造拠点が立地した。その下請けや協力企業ら中小の町工場も今の京葉道路沿いや竪川周辺に軒を連ねたが、多くが戦後進出組。生い立ちも修業先も異なり、地域の同業者だが顔馴染みがなく互いの疎通に乏しい。そこで地元の有志が集まり金ヘン3業種に声をかけ、親睦会を結成したのが鉄睦会の始まりだ。

 東鉄連加盟は55年(昭30)10月。金ヘン3業種のうち「鋼材23社」のみを条件とし、鉄睦会の中に新たに「亀戸鉄睦会東鉄連地区会」を結成した。以後、長きにわたり鉄睦会は、本隊と東鉄連に加盟する地区会の2派が存在したが、17年(平成29)5月の創立65周年を機に一体化。鉄睦会が「ひとつ」になった。

 発足から今年で73年となる鉄睦会の会員数は現在26社。この間、初代・布施正一氏(明治鋼材)から現・松田明氏(松田商工)まで11人の会長でバトンをつないだ。このうち8代・出店要蔵氏(出店鉄鋼)と9代・齊藤榮一氏(栄鋼管)は、東鉄連の14代と15代会長を歴任。ちなみに会員企業の1社である野村鋼機の湊義明社長は、浦安鉄鋼団地協同組合の前理事長を務めた。亀戸鉄睦会は、逸材揃いでもある。

 オーナー系が多く、自分たちの商売を「家業」として捉え、家業を守りながら次の世代に引き継いでいくことが商売の安泰と従業員の雇用につながると考える。その根っこにある土着の精神こそが、会員企業に共通した鉄睦会の活動の原点であり原動力である。

 3年前の創立70周年を機に「未来志向」を掲げ、会長および副会長ら執行部の若返りとともに「歴史と伝統を重んじつつもそれに胡座をかかず、新たな趣向も採り入れながら仲間と共に世代を繋いでいく」との将来ビジョンを明示した。

 これは、まずは「鉄睦会の成長と飛躍」を念頭に置いた活動に精励し、会員にとって「楽しくて『ため』になる」よう、取り組むことを最優先としつつ、傘下団体として上部組織である東鉄連への協調も重視し、さらには同じ加盟団体との共催事業なども模索することで運営の幅を拡げ「質」を高めようとの戦略思考に基づく。

 鉄睦会には、97年(平9)に発足し今は活動休止状態にある若手下部組織の「亀戸鉄睦会小亀会」があり、全盛期は総勢で20人超を誇った。若手集団らしい元気と勢いと結束力で一時は「小亀パワー」の異名でも知られ、親亀の運営をサポートしつつ、同じ東鉄連に加盟する他団体の若手二世会との交流でもパワー全開で盛り上げ、一世を風靡した。

 18年(平30)7月の定時総会を最後に「一時休会」となったが、近年の正副会長経験者や今の執行部には小亀出身者も多く、その時代に形成した仲間関係や数多くの経験を本隊の活動に生かしている。