神戸製鋼所の建設機械事業、現在のコベルコ建機は1930年に国産初の電動ショベルを製造したのを起源とする。55年に米国・P&H社との提携を通じてクレーンなどの技術を導入し、クローラクレーンや油圧ショベルへと製品メニューを広げた。83年には油谷重工へ資本参加し、広島での開発・生産拠点を確立。99年の再編・統合でコベルコ建機が発足している。
2000年代にはイタリアのCNH社と油圧ショベル事業でグローバル提携し、コベルコ建機は経営資源を需要拡大が著しいアジア市場に集中させていく。国内では06年に大垣事業所を開設してミニショベルの生産へ乗り出し、海外では11年にインド工場を開設。今に至る中国、タイを含めた海外3カ国での現地生産を確立した。
CNHとの提携解消後はコベルコ建機とコベルコクレーンが統合し再び一体化。神戸製鋼の完全子会社として機械系事業の一翼を担っている。
近年は中国工場の再編、調達エンジンの認証問題を発端とする米国工場売却といった事業環境の激変に対処しながら、KOBELCOグループとして取り組む「カーボンニュートラルへの挑戦」を進めている。コベルコ建機は06年に世界初となるハイブリッド油圧ショベルの実機を世に出し、24年には水素燃料電池ショベルの試作機を公開。神戸製鋼・高砂製作所の水素インフラも活用し開発を加速させている。
また新たな収益の柱として、建設機械の専門性を活用した「コト売り・ソリューションビジネス」を展開。遠隔操作システムの「K―DIVE」やドローン点検の「K―AIR REAL」、クレーン施工計画策定支援ソフトの「K―D2プランナー」の提案や機能強化を図っている。
82年に神戸製鋼へ入社した山本明社長は120周年にあたり「ひとえにお客様のご支援のおかげで、KOBELCOグループは今日まで成長を遂げることが出来た。これまで当社の先人たちが繋いできた社史を、我々もお客様と共に次の100年へとつなげていきたい」と感謝。今後のコベルコ建機を「建機製品を軸としながら、重機の遠隔操作技術に代表されるような、現場に安心安全を提供できるソリューション開発や、カーボンニュートラル実現に向けた技術革新にも挑み続け、これからも誰よりお客様に寄り添う企業であり続けたい」としている。