


ナストーア(本社・東京都中央区、社長・木幡武氏)は、1948年に東亜精機として設立されたのが始まり。90年のナストーア・タイランド設立、2013年の溶接機事業売却などを経て、現在は茅ケ崎製造所(神奈川県茅ケ崎市)、大径管工場(日本冶金工業・川崎製造所内)、タイ(バンプー工業団地)の3工場体制でステンレス鋼・高機能材の溶接鋼管を製造している。
小径管をタイ、大径管を川崎、中間サイズや特殊仕様品、角形鋼管を茅ケ崎で生産分担し、幅広いサイズをそろえる。船舶、火力・原子力発電など許認可や認証規格を豊富に有し、各種仕様への対応力も強みにする。人員は日本が約100人で、タイが約200人。
将来に向けた注力分野では、新エネルギー関係の深耕に取り組んでいる。先々の物件情報の収集に当たり、日本冶金工業のソリューション営業部と連携する一方、エンジニアリング大手との情報交換も密に行っている。ナストーアはもともとガス運搬船向けを得意分野の一つにしており、最近はLPG・アンモニア運搬船向けが堅調で、LNG貯蔵設備向けも継続的に動いている。
製造から輸送・貯蔵、利用に至る水素サプライチェーン関連の開発案件では、日本冶金工業川崎製造所が今年度末までに開設する水素環境での材料評価試験場も活用する。使用済み核燃料貯蔵ラックや放射性物質輸送容器を含めた原子力発電設備の需要も着実に捕捉していく。
日本冶金工業の高機能材を生かした製品戦略をもう一つの柱に据える。24年には茅ケ崎において、インラインでBA(光輝焼鈍)炉を組み込んだ連続自動造管ラインを新設し、タイに続いて茅ケ崎でもBA管の製造に乗り出した。この設備も生かして、高ニッケル合金、スーパーオーステナイト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼など高機能材溶接管の競争力を強化し、新エネルギー関係を含めて国内外の需要を積極的に捕捉していく。
日本冶金工業とは高機能材や特殊鋼種の納期・小ロット対応で連携し、新商品開発でも協力関係を深化させている。
「新エネルギー関係、高機能材に力を入れるとともに、各種仕様への対応力や小ロット対応力も強みとして生かしていきたい」と木幡社長は話す。ナス物産、クリーンメタル、ナスエンジニアリング、ナステックなど日本冶金工業グループ各社との連携も強化していく。
新たな設備投資では、茅ケ崎の連続熱処理炉(大気熱処理)の老朽更新と生産性向上を進める。早ければ26年度上期に新設備を稼働させる。基幹システム更新は22年度から3段階で取り組み、今秋に最終段階の稼働に入る予定。
人事政策では今年4月から定年の年齢を65歳へと引き上げた。また茅ケ崎では北海道、九州、沖縄など遠方の高校からの新卒採用者も少なくない。独身寮の老朽化に伴い住環境や待遇を改善するため、工場近くの物件を購入し、今年度上期中に新しい寮への転居を終える予定だ。