


ナス物産(本社・東京都中央区、社長・伊藤真平氏)は日本冶金工業グループの中核商社。特徴としてステンレス鋼専門の「商社」「コイルセンター」「問屋」としての顔を持つ。
商社としてはあらゆる種類のステンレス鋼製品をワンストップで扱う。日本冶金工業製のステンレス鋼板を全国へ浸透させる役割を持ちつつ、パイプ、条鋼、線材、加工品などフルラインアップのステンレス鋼材を取り扱う。また、梱包資材や産業資材、産業機器なども販売し、周辺商材も含めて、ステンレス鋼専門商社として顧客の幅広いニーズに応える。
商圏は国内にとどまらない。ステンレス鋼や高機能材などの輸出事業も手掛ける。中国に日本冶金工業と共同出資で設立した現地法人、日邦冶金商貿(上海)を通じて電子機器やエネルギー関連の顧客に輸出している。輸入業務では日本冶金工業の生産に必要なクロム・モリブデンなどの原料や電炉用耐火物などの資機材を調達している。
コイルセンターとしては、中部加工センター(愛知県小牧市)、関西加工センター(堺市東区)の2拠点でスリット、レベラー加工を手掛ける。加えて中部はシャーリングマシンやプラズマ切断機、レーザー加工機を有し、鋼板のあらゆる一次加工に対応する。日本冶金工業の精整工程の一翼を担う面もあり、同社川崎製造所よりレベラー、スリット加工を受託することもある。同製造所の品質監査を通じてメーカー同等の品質管理のもと安定供給できるナス物産だからこそ可能と言える。
最後は問屋の一面。東京、名古屋、大阪はもちろん、札幌、仙台、金沢、静岡、広島、香川、福岡にそれぞれ在庫販売拠点を持つ。地域密着型で品ぞろえは市場ニーズに合わせて売れ筋をラインアップする。加えてグループ販売会社として日本ステンレス加工(さいたま市岩槻区)、大栄鋼業(同市同区)、堀池ステンレス(静岡市清水区)、富山鋼業(富山県富山市)、マブチステンレス(香川県高松市)、三豊金属(岡山県早島町)、双輪ステンレス販売(北九州市小倉北区)が地域の実情に根差してきめ細かく対応。コイルセンターが動脈であれば、全国10の在庫販売拠点やグループ7社は毛細血管として日本冶金工業製品の浸透を図っている。
現在進めているのは設備更新。この数年で電気制御関連の更新を完了させ、今後は油圧関連も更新する。一連の更新が完了すれば「少なくともあと10年は安定的に稼働できる」と伊藤社長。今年10月には関西加工センターの新製品倉庫が稼働し始め、年内に事務所の移転が完了する。
来年度からは新中期経営計画が始まる。人口減少による市場縮小の逆風が予想される中、脱炭素推進に伴うエネルギー転換による新規需要の捕捉、スプレッドの維持、ニッチアイテムの拡販、加工業務の拡大などによりさらなる成長を図る。「28年度はナス物産という社名になって50周年という節目の年。日本冶金工業グループの中核商社としての使命を果たしながら、同社とともに発展できる期間にしたい」と伊藤社長は意気込む。