全国厚板シヤリング工業組合(ZSK)が、1976(昭和51)年5月の創立から50年を迎え、きょう都内で記念式典を開催する。節目に際し、中島克英理事長(日鉄神鋼シャーリング副社長)に話を聞いた。(聞き手=太田一郎)
――節目を迎えて。
「まずは創立に携わった先人ら諸先輩に深く敬意を表するとともに、今日に至る時代の変遷の中で業界を支えていただき、ご指導いただいた全ての関係者に、ZSKを代表して心から御礼申し上げます。そして日々の活動に協力してくださる組合員各社にも感謝します」
「御承知の通りZSKの前身は、62年3月に発足した任意団体『全国シヤリング組合』で、その後、当時の通産大臣の認可を受け『中小企業団体の組織に関する法律』に基づき改組しました。前身から数えると60有余年の歴史を重ねた業界団体になります」
――シャー業の位置付けとZSKの役割について。
「厚板サプライチェーンにおけるシャー業の役割や機能について今さら言うまでもありませんが、顧みると、われわれは大半が中小企業であり、設備と従業員を抱えながら製鉄メーカーと需要家との狭間で、その時々の需給変動と市況の上がり下がりに翻弄され、一方で顧客の厳しいコストダウン要求を受けながら好不況の荒波にさらされてきました。それでも個社レベルでは常に『経営の安定』を念頭に、合理化や加工賃是正、技術革新や労働力確保などに日々自助努力しています」
「ZSKの使命は、これら個社の経営努力を側面から支援することであり『信頼と共生』をモットーに掲げ、組合員同士の発展と共存共栄を目指してきました。活動内容は多岐にわたりますが、総括すれば、共通する課題に対し、個社では解決し難いテーマを業界全体で改善に導くための施策や仕組みづくりを模索し、必要に応じて対外的な提言や陳情なども行ってきました」
――具体的には。
「今のZSKの中核事業は、商慣習是正に向けた『取引適正化』活動です。主たる需要分野の建設業界では口頭約束による契約が長年の慣習であり、これを書面によるルール化に改め、契約そのものを健全化しようと対面業界に理解を促しつつ、並行して組合員にもその徹底に向け啓蒙活動を展開しました。今では金属産業全体を対象に、二次加工も含めた適切な加工賃や歩留まり、時間軸を踏まえた工程管理の在り方なども推奨するとともに、新たにミルシートの電子化や物件名記載削除といったテーマにも関係諸団体と連携しながら取り組んでいます」
「次世代の担い手育成や生産・技術に関する最新情報の発信、環境配慮や安全労働衛生に関する諸問題にも取り組み、ITデジタル化・DXに関しては行政らとも意見交換しながら一歩ずつ進めています。労働力不足問題では、いち早く外国人特定技能制度の改定を訴え、鉄鋼シャースリット業の区分追加を実現するに至りました」
――とりわけ人材育成事業は、取引適正化活動と併せてZSKの二本柱です。
「シャー業にとって人材確保と技能伝承が重要な経営課題であり、ZSKでは種々の事業を通じて安全教育や技能向上に寄与する情報を共有するとともに、自動化設備や省力化システムの導入事例なども発信して働きやすい職場環境づくりを後押ししています。また、昨年から始めた『職場改善発表大会』は、組合員企業の実際のQC活動成果を公開し、組合員の刺激になるだけでなく各社の業務改善や人材育成に貢献していると自負しています」
「若手経営者らが集う『全国青年交流会/鐵人フォーラム』も、業界共通の諸問題をテーマとし、解決の糸口やヒントを得る貴重な交流の場として定着しました。ここでのネットワーク形成が、実際のビジネスに発展したケースもあります」
――業界を取り巻く事業環境見通しは。
「成熟経済と少子化によって切板内需は構造的に大幅な回復が期待しづらい半面、建設分野を中心にインフラ更新や国土強靭化、再エネ関連や物流・データセンター施設などは継続的な出件が想定され、一定量の需要も見込まれることからわれわれが上質な切板製品を安定供給する使命はむしろ高まるでしょう。その社会的役割を踏まえ、現行の需要レベルを『ニューノーマル』と認識し、個社は企業体質を筋肉質にし、業界としては取引適正化を一段と推し進めていくことが肝要です」
――それを実践する心構えは何でしょう。
「私は常々、ZSKの存在意義は『業界地位向上への貢献』であり、それには組合員企業が事業の先行きを展望できなければと考え、意義ある活動を心掛けてきました。シャー業は、個々の規模は小さく弱い立場かもしれませんが、切板製品という建設構造物や機械装置に欠かせない重要なワンピースをつくる〝エッセンシャルインダストリー〟だと自覚し、確たる自信とプライドを持つことが大切です」
――「切板加工に誇りを」ですね。
「そう、その自覚のもとで厚板サプライチェーンの上下流から戦略的パートナーだと感じてもらえるよう、これまで以上に各社が自助努力し、それをZSKが『信頼と共生』の精神でしっかりとサポートすることで取引適正化と業界ステータス向上を具現化していくことを私は切望しています。今はまだその途上なので、この想いを次につなげていきたいと思っています」



