――事業開発本部は第16次中期経営計画(24~26年度)の重要課題である「成長ドライバーの創生」の推進役を担っています。まず基本方針を聞きたい。

 「大きく三つの方針があり、一つ目は『新商品の創出』であり、当社の有するシーズや新たな研究成果を生かして次世代のヒット商品を育てていく。二つ目は『事業規模の拡大』であり、海外新工場の設立などグローバル展開も進めていく。三つめは『事業領域の拡張』であり、既存事業の強みを生かして新たな製品・サービスを創出していく。M&Aの積極的な活用や海外での新市場開拓など、従来の延長線上にはない挑戦も積極的に行っていく」

 「当社はIH(誘導加熱)技術をコアにしているが、より大きく成長するためにはコアビジネスを再定義し、フィールドを広げていく必要がある。熱処理にせよ、材料改質にせよ、熱マネジメントにせよ、当社の有する経営資源を整理し直して、より総合力を発揮できる方向に進んでいきたい。社会課題の解決に資することも重要視しており、防災や国土強靭化、医療などの分野も候補となる」

――M&Aによる新事業創生では、25年度にドーケン、AIG、MDIの3社をグループに迎え入れました。

 「3社はそれぞれ異なる分野の企業だが、当社の主力事業とのシナジーが見込めるとともに、一緒に社会課題を解決していける点で共通している。例えば、ドーケンのプレキャスト・コンクリート製品は建築業界の人手不足に対応し、MDIの熱交換器や省エネシステムは年々深刻化する暑熱問題に対応する」

 「M&Aで最も重要なのはPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)であり、ネツレングループにおける価値観を経営トップ層から従業員まで幅広く共有し、各社の企業価値を向上できるよう取り組んでいく。また、我々にとって重要なのは各社の社員であると考えており、どうすれば皆が幸せになれるかを常に念頭に置いている」

――今後もM&Aは積極的に進めますか。

 「当然進めていく。我々の事業領域を広げていく上で必要であることに加え、新たに加わったグループ企業がシナジーを創出し、新事業をさらに強くするためのM&Aも必要だと考えている」

――ネツレンは、社内公募により社員が希望する部署・職種に異動できる『アグレッシブ・チャレンジ・ポスト』制度を1月に始めました。このACP制度を活用し、今秋から数名が事業開発本部に異動になるようですが。

 「新商品の創出や事業規模の拡大にも事業部と連携して取り組んでおり、優秀な人材は喉から手が出るほど欲しい状況だ。大宮社長は『アグレッシブ・チャレンジ』を合言葉にしている。私としては、『アグレッシブ』と付いていることが肝心だと受け止めている。とにかくまずはやってみよう、という呼び掛けであり、若手から手が挙がったのはうれしかった」