伊藤忠丸紅住商テクノスチール松原弘幸副社長
伊藤忠丸紅住商テクノスチール松原弘幸副社長

――建築・鉄構部門の概要は。

 「営業の5部と施工管理・技術部、デッキ事業推進部の2部で構成している。フロアー営業部は当社独自製品の配筋付床版製品『ファブデッキ』を、PCa営業部はコンクリート床版『KHスラブ』を中心にプレキャストコンクリート製品を扱い、生産から販売を手掛けている。この当社独自の床製品を横串的に俯瞰(ふかん)、サポートしているのがデッキ事業推進部。至近では沖縄で新しい床商品『SIMデッキ』を開発し、販売開始した」

 「建築建材部は鉄鋼メーカーから鋼材を仕入れ、必要なものは各種加工も施して鉄骨ファブリケーター向けに販売する鋼材販売が中心だ。鉄構建材部は鉄骨工事や内装工事のほか、特約店向けの店売り機能も有している。さらに傘下に事業会社の太平産業を持つ。プロジェクトマネジメントを担うPM営業部は、施主の要望を把握した上で短工期のシステム建築や耐震診断・補強工事を提案する。鋼材でなく建造物自体を完成まで管理、販売している部署だ。施工管理・技術部は、鉄骨工事の設計・施工図面の確認といった工務機能と、着工後に現場に常駐する施工管理を担う。商社鉄骨を手掛ける他社は別会社化しているが、当社は社内に機能を備えている」

――部門での統合効果は。

 「旧テクノスチールから見れば、住友商事の建築部門とその関係から日建設計との関係性が深まったのが大きな強みだ。日建設計には当社各種商品を設計に織り込んでいただく機会が増え、高層ビルなど対応できる扱い商品の幅が広がった。住友商事グループによるゼネコンへの施主推薦も多く取り込めてきたほか、取り扱う商材や工法、サービスも格段に増えて営業の切り口も拡大している」

――建設現場の省人化・省力化につながるファブデッキとKHスラブの採用が拡大している。

 「ファブデッキは全国の工事現場に納入している。工場であらかじめ縦と横の2方向に配筋してあるので、現場での鉄筋工の労力を大幅に軽減するだけでなく、工期短縮にも貢献できる。コンクリート打設済みのKHスラブは従前より東西の協力会社で製造しているが、昨年8月からは長谷工コーポレーションとの合弁拠点を茨城県に開業し、階数が多いタワーマンションなどへの供給量が増加した。どちらも20年以上前から展開している商品だが、建設現場の人手不足が深刻化した現在では需要が急激に増えていると感じている。また、2024年度からは形鋼などを扱う店売りの建材課を鉄骨工事部隊と一体化し、各特約店にも加工製品のお願いや提案をしやすくする組織とした」

――営業方針で心掛ける点は。

 「直近で鉄骨工事が多かった19年に就任したが、設計から工程、図面が毎日目まぐるしく変化する鉄骨工事において無理な受注が重なって担当が苦しそうに仕事をしていた。こうした状況を改善し、担当者が1人で問題を抱え込まないよう分業協力し、進ちょく確認体制を整えた。担当1人に過重な負荷をかけず、ゼネコンやファブなど顧客相手にきめ細かく対応できる環境づくりを重視している」

――中長期的な展望を。

 「労務不足や労働時間規制等を起因として、建設市場はかつての鋼材需要水準には戻らないだろう。一方で潜在需要は高く、工期短縮、省力化を実現する商品や工法への期待は高い。鉄に限らずコンクリートや木材など異素材も絡ませた新たな製品やサービスを提供できる協業先を探し、商品開発に生かしたい」