――営業第一部門の概要は。
「本社では棒鋼部が関東地区向けの鉄筋を扱っている。国内拠点は北海道と東北の両支社を担当する。棒鋼部は都心部の再開発案件を多く手掛け、取扱重量規模は大きい。ただ新規建築案件のプロジェクト営業も管掌しているので肌で実感しているが、コロナ禍前の2018~19年をピークに鉄筋コンクリート造(RC造)の着工床面積が減少傾向にあり、鉄筋需要も縮小している。足元では20年以降年間出荷量が700万トンを割り込み、当社の取扱量も比例して少なくなっている。一方で22年2月に勃発したウクライナ危機を境に原料の鉄スクラップ価格が高騰し、建材としての棒鋼も市場価格がトン10万円を超える高値圏に入った。こうした資材高騰に加え、24年度からは働き方改革により建設技能労働者の労働時間が減っている。人手不足も相まってゼネコンの施工能力が低下し、工事の遅延や着工延期、計画見直しなどが相次ぎ、鉄筋需要は盛り上がりを欠く」
――北海道の市場動向は。
「鉄筋の仕入れはほとんど道内にあるメーカー2社で賄えている。道内では新幹線の札幌延伸部向けの土木工事や鉄筋納入が25年度いっぱいは続く見込みで、北海道支社が土木事業の営業第二部門とも協力して販売に力を入れている。ただ延伸延期や冬季五輪計画の中止により、札幌駅前の再開発では複数の計画が見直された。直近では千歳市の半導体工場が建築規模としては大きかったが、その他の案件はなかなか計画が進展していない。だが冷涼な気候を生かしたデータセンターの建築計画は多く、27年度下期から上昇機運に乗れることを期待している」
――東北6県はどうか。
「数年前に東日本大震災からの復興需要がほぼ一段落し、この2~3年の建材需要は低位で推移している。仙台市庁舎建て替えも始まったが、他地区と同様に資機材高騰や建設現場の人手不足で着工がなかなか進まない。この先は北海道と同様に、老朽化した建築物の更新需要を中心に来年下期くらいから上向くのではないか。またベンダー各社も物流拠点として東北に注目しているので、しっかり動向を追いたい」
――プロジェクト推進部は。
「伊藤忠商事と丸紅、住友商事の3総合商社のネットワークが大きな力だ。関係会社も含めて建築計画など物件情報を集約し、当社からも情報を提供する互恵関係に基づき建材を中心にしっかりニーズを捕捉している。人手不足から選別受注を続ける、元請けのゼネコンとの折衝もできる同部の機能がより高まっている。3社の情報を一手に扱うが、秘匿性も重視してしっかり情報は管理していると自負している。建材鉄鋼製品の窓口は3社とも当社に集約されるので、部署ごとに仕分けする必要もないと感じている」
――今後の強化点は何か。
「第一は人材の補強だ。鉄筋や北海道・東北、プロジェクト営業はいずれも専門性があり、取引先との信頼関係の構築にも時間がかかる。人員補充や社員教育をしっかり進めたい。機能面では単なる売り買いのトレードにとどまらず、デジタル化によるDXや脱炭素を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)など時代のニーズを読み、販売先や仕入れ先のメーカーに貢献できるものを構築していきたい。解体作業で発生する鉄スクラップを電炉に納入し、建て替えで使う新たな鋼材を仕入れるサーキュラーエコノミー(循環経済)にも、伊藤忠メタルズなどと協力して取り組んでいく」



