システム建築を採用した物流倉庫(兵庫県)
システム建築を採用した物流倉庫(兵庫県)
クレーンを使い鉄骨建築物の耐震診断を実施(神奈川県)
クレーンを使い鉄骨建築物の耐震診断を実施(神奈川県)
システム建築を採用した物流倉庫(兵庫県) クレーンを使い鉄骨建築物の耐震診断を実施(神奈川県)

 新工場建設などに不慣れな施主からの委託を受け、元請けのゼネコンとの間に入って円滑な施主代行を担うプロジェクトマネジメント(PM)事業を担うのが伊藤忠丸紅住商テクノスチールのPM営業部。PM営業の二枚看板が、鉄骨部材の標準化で短工期を実現する「システム建築」と、築年数が古い建造物の「耐震性診断・設計・補強工事」だ。

 荒井宏部長は「工場や倉庫の新設、既存建物の耐震補強などといった改修工事は多くの施主にとって10年に一度あるかないかの一大事業。適切な工法の提案や発注先の紹介、耐震診断などの課題をプロの立場から解決するのが狙い」と事業の特色を語る。

 PM事業を本格化させたのは統合、発足時の10年前。当初はニーズが低かったが、建設業の人手不足や建設費の高騰、コンプライアンス(法令順守)意識の向上といった社会情勢を追い風に存在感を高めてきた。多くの建設会社や鉄骨ファブリケーター、エンジニアリング会社などと取引している商社の強みを生かし、各種情報を集積することで外からは見えにくい「工程の見える化」にも注力する。

 営業の端緒は発注者探しから始まる。新聞などの報道を基に企業の土地購入や自治体の補助金制度などの情報を広く洗い出し、専門スタッフが見込み客に直接対応することでニーズを拾い起こしている。

 希望する工期や予算、地域性などを勘案して元請けを選んで紹介するので「手法としては複数の保険商品を案内する『来店型保険ショップ』に近い」(荒井部長)。

 得意とするのが工場や倉庫でのシステム建築工法の提案。横河ブリッジシステム建築(旧横河システム建築)など業界大手と協力し、一級建築士事務所の立場から初期相談に応じ、設計業務、施工・管理、完工・引き渡しまで同社独自のサービスを提供する。

 もう一つの看板「耐震性診断」は、1981年(昭56)の新耐震基準に適合しない建築物が増えてきたことで建て替え・改修需要が拡大すると見込んで進出した。荒井部長は「業容拡大につれて天井クレーンを後から増設するなど、建築時の基準に適合しなくなった工場などは意外と多い」と指摘。「安全上でも問題を抱えるが、建築費が高騰した昨今では新築に踏み切れる企業は少ない。まずは耐震診断をした上で問題点を指摘し、補強工事などの受注につなげている」と語る。

 PM営業部は事業が本格化された10年前と比べ、大幅なニーズの高まりにより成長が期待される。荒井部長は「今後もマーケットイン(顧客志向)の観点を大事にし、建築の工法・資材の専門家として需要を開拓したい。広告媒体を使い認知度向上を図っていく」と力を込める。