創業120周年を記念し、大会史上初の国際試合が行われた「KOBELCO CUP」
創業120周年を記念し、大会史上初の国際試合が行われた「KOBELCO CUP」

 KOBELCOグループは次の100年に向けて、社員の働きがい向上とともに、スポーツや教育・芸術、環境など多岐にわたる社会貢献に取り組んでいる。2023年度には、ユニセフを通じた寄付や事業所が立地する地域自治体への寄付等、社会貢献活動費用として約8億5千万円を支出した。こうした活動を通じて、社内外のステークホルダーの皆さまと持続的に発展し共生していくことを目指している。その活動をリポートする。

 8月1日、長野県上田市の菅平サニアパークに高校ラグビー選手621人が集結した。「KOBELCO CUP」――同社が創業100周年を機に、20年にわたって特別協賛する全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会で、これまで、オリンピックやワールドカップの代表選手も多数輩出している。

 ジャパンラグビー リーグワン所属のラグビーチーム・コベルコ神戸スティーラーズを擁する同社は、とりわけラグビーの振興に力を注いできた。同大会ではいち早く強化につなげる「U17の部」に加え、部員不足により単独チームを編成できない高校生に出場機会を提供する「U18の部」も開催し、すべての高校生選手に活躍の場を広げている。また、主に7人制からラグビーを始める女子選手を対象に15人制ラグビーの機会を提供することで女子ラグビーの強化にも貢献。女子の部は今回15回の記念を迎えた。

 今回は同社の創業120周年を記念し、台湾から高校生チームを招待。大会史上初の国際試合としてクラブチーム選抜などと熱戦を繰り広げた。試合後には両チームの交流会も開催し、ノーサイドの精神で親交を深めた。クラブチーム選抜の主将は「私たちのチームは人数が少なく、試合をする機会もあまりなかった。海外の選手と試合することができてうれしい」と笑みを見せた。

 同社の貢献はまた、自然環境分野にも広がっている。社員ボランティアによる森林整備活動がその一つだ。

 活動は2011年からKOBELCOの森(兵庫県三木市)とECOWAYの森(神戸市灘区)の2カ所で実施。毎年春と秋に社員やその家族などが苗木の植樹や枯れ木の伐採などを行い、生物多様性のある森づくりを進めてきた。

 さらに創業120周年の節目を迎えるにあたって、神戸市が推進する「神戸登山プロジェクト」にも昨年から参画。六甲山系の70を超える登山道で、老朽化した施設の安全対策や案内板整備、登山道の整備・メンテナンスなど、登山環境の向上に関係する費用の支援を行ってきた。

 今年度は複数の海外拠点での活動開始も検討し、国内外で環境保護活動の展開を予定している。

 このほか同社では、地域の笑顔をつなぐ活動にも力を注ぐ。そのひとつが「コベルコ地域社会貢献基金」だ。基金は創業100周年記念事業として2006年に設立。これまで同社事業所・工場周辺の学校や図書館、団体や施設などに学習道具や遊具などを寄贈してきた。

 寄贈を受けた施設などからは「新しい遊具で楽しく遊ぶ姿が見られ、発達を促す上で貴重な養育用品になった」といった喜びの声が多く上がる。長年の活動が評価され、神戸市をはじめとする自治体から感謝状や表彰も受賞している。

 また、災害の支援・対策も同社にとって重要な活動のひとつとなっている。背景にあるのが今年で発生から30年となった阪神・淡路大震災だ。本社や主要工場が被災した経験から、当時受けた支援への恩返しとして、これまで東日本大震災や能登半島地震など国内外の被災地への支援を続けてきた。

 こうした多岐にわたる社会貢献活動を社内外に広く周知するため、2024年に「KOBELCOのネオハルアクション」というWEBサイトを開設した。「環境」「地域」「スポーツ・教育・芸術」「災害支援」の四つの切り口で、地域に根を張る(ネオハル)活動として、KOBELCOグループの社員が自ら活動したものを中心に取り組みを発信している。

 同社は今後もさまざまな形で地域に根を張る活動を通して、次の100年に向けて地域とともに持続的な発展を目指していく。