神戸製鋼所は溶接材料、溶接ロボット・装置・電源、溶接プロセスの技術を保有する溶接総合メーカーであり、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」であり続けることを目指している。国内は茨木・藤沢・西条・福知山の4拠点体制で、関連会社7社を擁する。海外はアジアを中心に欧米を含めてグループ11社を擁するほか、技術提携先も1社ある。
近年はCO2排出削減が社会的テーマとなる中、エネルギーシフトに対応する新たな溶接材料の開発を進めている。溶接現場の人手不足や残業規制に対応して、効率化や自動化、省力化を支えるソリューションの提案にも力を入れている。
最近の開発事例では、2024年にワイヤ送給制御プロセス「AXELARC」(アクセルアーク)を搭載した溶接ロボットシステムと新溶接材料を開発し、国内販売を開始した。中厚板の幅広い用途で、炭酸ガスアーク溶接における溶接速度を20%向上でき、高能率と極低スパッタを実現して、生産性向上や溶接品質向上に貢献している。
25年には、「AXELARC」を自動車分野に展開するため、自動車足回り部品など薄板のアーク溶接分野に強みを持つパナソニックコネクトとの協業に乗り出した。両社で溶接品質安定化、電着塗装性向上を実現する新工法、新溶接材料を開発し、販売を開始している。
溶接研修事業の充実も進めている。藤沢事業所は、研究開発を含む溶接ソリューション発信の重要拠点であり、(32年開業予定の)JR村岡新駅の周辺地区のまちづくりプロジェクトの一翼を担う意味でも将来が期待される。同事業所にある溶接研修センターを63年ぶりに刷新中で、今年末のリニューアルオープンを予定している。最新の施設で溶接技能者の実技講習や受験、溶接ロボットのオペレータ教育、座学などを充実させる。
取引先の商社、販売店で構成する「神溶会」の初開催は1952年にさかのぼる。55年の正式発足以来、70年を超えて溶接の普及や向上に共に取り組んできた。昨年サポーター制度を改定し、今年から優秀サポーター表彰を設けるなど、さらなる活動の充実を図っている。