60周年記念イヤー事業でギネス世界記録に挑戦
60周年記念イヤー事業でギネス世界記録に挑戦
就任直後に行われた井上会長の所信表明
就任直後に行われた井上会長の所信表明
Zoom活用講座
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60周年記念イヤー事業でギネス世界記録に挑戦 就任直後に行われた井上会長の所信表明 Zoom活用講座

 2015年12月13日。東鉄連創立60周年イヤー記念事業の大トリを飾るギネス世界記録挑戦が行われた。

2000人の鉄屋パワー集結

 当日はあいにくの雨模様で気温も低かったが、東鉄連会員のほかメーカー、商社ら関係者1936人が集結。「手でハート型を作って繋がった人の最も長いチェーン」種目に挑み、記録を達成した。

 「従業員も含め大勢が参加でき、記録と記憶に残る記念事業」をテーマに2千人に及ぶ鉄鋼人が〝信頼と団結の鎖〟でひとつに繋がり「鉄屋パワーここに在り」を証明した瞬間、会場は歓喜に沸いた。

 あれから10年。この間に「全員参加の原点回帰」を標榜し、会員を主役に据えて事業の活性化と会員の結束力醸成に道筋をつけた14代・齊藤榮一会長(現・理事相談役、栄鋼管社長)から18年度総会で現・井上憲二会長(明治鋼業会長)にバトンが渡った。

井上会長の「三つの柱」

 就任直後の所信表明で井上会長は「前齊藤会長イズムである『全員参加の東鉄連』を踏襲する」としたうえで、時流を踏まえ「活動の中核となる三つの柱」を掲げた。それが(1)業界団体として会員の声と鋼材流通業の現状を行政や関連業界に伝えるとともに対外業界の情報を会員に伝達(2)会員企業が事業を継続するのに必要な知識や技術情報などを得られるようサポートし、1社ではしづらい事を会として支援(3)こうした事業を円滑に行うための親睦活動―である。

 東鉄連は傘下にある九つの地区・業種団体で構成する。協同組合京橋鉄友会、本所鉄交会、神田鉄栄会、城南鉄鋼会、亀戸鉄睦会、城北鉄交会、東京鋼板シヤー組合、東京鋼管会、江戸川鉄栄会だ。

 いずれも発足から約60~70年。この間、各団体とも親睦活動を通じてメンバー同士の仲間意識や信頼関係は出来ていると判断し、それを土台に「各団体の活動範疇を超えた〝東鉄連ならでは〟の切り口で会員企業の事業継続や経営諸問題の解決支援に貢献し、参加意識と存在意義を高める」ことを目指す。

 目下の経営課題をざっと挙げても物価高騰や人手不足・採用難、人財育成、働き方改革、ITデジタル化、物流問題、脱炭素…など多岐にわたる。これらをテーマにした勉強会や研修・セミナーを実施してきたし、これからも「さらに質を高めていく」考えだ。そのためにも次世代を担う若手の力に期待する。

事業活性化へ若手起用

 コロナ禍を経験した井上会長。3密回避によって「大勢が一度に会ってはいけない」となった。団体活動の常識が覆り、存立そのものが危ぶまれた時期に、若手役員の協力を得てウェブ活用に活路を拓いた。「Zoom活用講座」も好評で、東鉄連離れを回避し、むしろ求心力につなげた。

 前述した経営課題のひとつであるITデジタル化事業については、行政当局との対応力強化のため、DDN(全鉄連流通情報網研究会)を「デジタル化推進委員会」に改組。引き続き齊藤榮一氏に委員長を託しつつ、4人の委員は東鉄連の若手理事を起用した。ここでも井上会長の若い力への期待度が伺える。(5面参照)

 井上会長は、23年6月の全鉄連福岡総会で第9代目会長にも選出され、今は両団体の会長を兼務する。

 鉄鋼二次流通・加工業界のリーダーとして山積する課題に向き合い、若手の育成にも力を注ぎ、齊藤イズムに自身の考えや想いを加えた「井上イズム」をDNAとし、次世代の担い手に承継していく。70周年の節目は、その足掛かりとなる。脇を固める副会長ら現役の役員とも意思疎通を図りながら次の80年、90年そして100年に向けた新たな一歩をきょう、踏み出す。