芝浦シヤリングの熱延コイルセンター(CC)拠点である東京事業部コイル鋼板部「船橋工場」(千葉県船橋市西浦)には、6尺シヤリング機が鎮座する。
加工仕様は板厚25ミリ×板幅1829ミリ。会田鉄工所(現アイダエンジニアリング)が1932年(昭和7)に製造した。この年は「合資会社芝浦シヤリング工場」が発足した年でもあり、同社の草創期からその後の成長・発展をともにした。
大川伸幸社長によれば、同社にとって導入第3号機とのこと。船橋工場の前身である浜工場(東京・芝浦)で長く稼働し、CC事業を船橋に全面移転した98年(平成10)まで実に66年間を〝現役〟として稼働した。
引退に際し、長年の労に感謝しつつ、その活躍を後世に伝えるべくモニュメントとして残したいと考えたのが、当時のCC事業の責任者だった今の大川社長だ。同業の藤澤鋼板(社長・藤澤鐵雄氏)が、1号シャーを「社宝」として本社事務所の玄関口に飾っている光景が手本になったという。
移転を機に廃却の予定であったが、社内を説得し、船橋工場の入口に設置した。以来、この場で静かに余生を送っているが、漆黒に塗られ、重厚感あふれるその風格は威風堂々としており、今でも現役時代を彷彿とさせる。
また、同社が本社を置く「ShibauraCrystal 品川」(東京都港区港南)の13階には、長短2本の日本刀が大切に飾られている。
1本は「太刀」で長さ2尺5寸1厘、反り8分2厘。もう1本は「脇差」で長さ1尺5分3厘、反り8厘。製作を日本製鋼所の室蘭製作所構内にある「瑞泉鍛刀所」に依頼し、刀匠堀井胤匡氏とその弟子である佐々木胤成氏が作刀した逸品だ。
この2本の新刀は、2018年(平成30)に完成。その前年が創業85周年だったことから、故大川宏之前会長の強い意志で、節目を記念して同社を中核企業とする芝浦グループの「社宝」にした。
そもそも芝浦グループと日本製鋼所・室蘭製作所は、長い取引関係にある。その歴史を紐解くと、戦後まだ間もない1950年(昭和25)に芝浦が室蘭製作所の構内に鋼板加工拠点の「室蘭工場」を開設したことに端を発する。そこから長年にわたって築いてきた相互信頼関係が、両社を結ぶベースにある。
社宝となった太刀と脇差は、適切な手入れのもと今も完成時の輝きと煌めきをそのままに、威厳を放ちながら優美な姿で見る者を魅了する。
(太田 一郎)



