「激闘の果て、王座を掴(つか)むのは誰だ?」―。鉄筋工日本一の称号を懸けた頂上決戦「第6回全国鉄筋技能大会~TETSU―1(テツワン)グランプリ」(全国鉄筋工事業協会主催、国土交通省など後援、鉄鋼新聞社など協賛)があす10月3日、富士山西麓にそびえる全国建設産業教育訓練協会「富士教育訓練センター」(静岡県富士宮市)で開かれる。全鉄筋正会員の都道府県別など34団体から、予選などを経て選ばれた代表選手35人が出場。熟練の技を引っさげ、しれつな戦いに挑む。2年ぶりの開催を前に、大会実行委員長を務める新妻尚祐副会長(東京都鉄筋業協同組合理事長、新妻鋼業社長)に大会の狙いや展望などを聞いた。(新谷 晃成)
――改めて開催の狙いは。
「大会名に銘打つように、職人の技能向上が第一だ。さらに各選手が切磋琢磨(せっさたくま)する様子を家族や職場の仲間、一般の方々ら観客の皆さんに高度な技術を見ていただくことで、鉄筋工事という仕事のかっこよさを感じ取ってもらいたいと願っている。まずは家族の方に普段は知らない仕事ぶりを披露することで理解を深めてもらい、さらには新たに鉄筋工事業の世界に飛び込んでくれる若者を増やしたい」
――これまでの開催回数は5回。振り返りを。
「私自身は技術委員長として当初から携わり、実行委員長を拝命するのは3回目だ。当初は規定時間の1時間20分を切れば入賞圏内と想定していたが、2015年の第1回から1時間を下回る選手が現れた。その後も回を追うごとに平均時間が短縮され、組み立ての精度も向上していった。あらかじめ課題を公表しているため、事前に練習して対策を練る選手が多いことも要因だろう。大会運営もはじめは手探りだったが、毎回反省点を挙げて次に生かしているので手際も格段に良くなっている」
――大会実施の効果は何か。
「選手にとっては、自分の働きぶりを家族に見せる機会になっている。われわれが組み立てる鉄筋はコンクリートで覆われてしまうので、建物が完成すると自分の成果物を目に触れることはない。競技という形で鉄筋の組み立て過程を可視化できるのは、一般の方にも鉄筋工という仕事に興味を抱いてもらう好機だ。さらに優勝者は業界内で実力を認められる存在となり、自分の仕事に誇りを持てるようになる」
――課題は。
「入賞して得られるのが名誉にとどまっている点だ。入賞者を雇用する企業がゼネコンからの受注機会が増えたり、請負単価や労務単価が割り増しされるなどの実益があればいいが、現実には難しい側面がある。またメディア展開などを通じて、外部にPRする機会を増やさねばならないだろう」
「今回は女性選手がゼロだった点も残念な点だ。全鉄筋に関わる鉄筋工は約3万3千人だが、女性は250人強と1%に満たない。出場資格がある技能検定1級の保持者は5人ほどとさらに少ない。次回以降は女性が出場できる枠組みを検討していく。職人が300人以下の団体からの出場がかなわなかった点も課題だ。一方で外国人選手は前回より2人多い3人に増えた。国籍を問わず、日本で働く鉄筋工が活躍できる舞台にしていきたい」
――運営面で心掛けていることは何か。
「競技採点の面で公平・公正を担保できる仕組みを前回から採用した。具体的には審査員は柱か梁のどちらかだけを同一基準で比較し、より客観的で厳正に採点できるようにしている」
――どんな大会にしたいか。
「やはり選手たちの戦いぶりを通じて、皆さんから『鉄筋工はかっこいい』と憧れられる存在となる契機にしたい。私たちが造る建物は人々の生命や財産を守る、社会に欠かせないインフラだ。選手たちには自信と誇りを持って競技に臨んでもらい、その役割や思いを精いっぱい体現してほしい」



