――会長就任以前より、本部運営に携われていた。

 「会長就任前の4年間は副会長を務めた。工業会より副会長就任の打診があったことは本当に驚いた。副会長2年目以降、会長代行を経て会長に就任した。計8年間(2015~22年)、皆さんにはお世話になった」

――会長時代、特に注力したことは。

 「日本産スクラップの輸出先の模索だ。当時、我々が扱う鉄スクラップの販路をより拡大できないか韓国、中国の鉄源協会や東南アジアの電炉メーカーなどと情報交換し、市場調査を行った」

 「こうした調査をもとに、北海道・石狩湾新港で大型輸出船に対応した港湾整備の要望や、鉄スクラップの国際競争力向上の重要性を国土交通省などに訴えてきた。今ではその整備が進行しつつある」

――コロナパンデミックが業界を襲った。

 「対面での会合ができず、工業会で初めてウェブ会議を実施した。そうしたシステムに精通していないため、準備に追われたが何とか整備を進めた。本部事務局に感謝したい。また、事業を実施するのか、中止するのかの判断にも迫られた。今になってその判断が正しかったのかは分からないが、工業会の事業において感染が拡大したという話は聞いていない。ほっとしている」

――鉄スクラップ価格が急騰した時期でもあった。

 「社会から鉄スクラップに向けられる視線が一気に変わったように見える。日本が輸出できる数少ない貴重な資源を扱う業界として、我々がいるステージが裏舞台から、表舞台へと変わり注目されるようになったのは確かだ」

――今の工業会活動をどう見ているか。

 「木谷会長は対外的な発信に注力されている。加えて中央官庁との情報交換を通じ、金属原料に取り扱いに関する法整備に向けた取り組みを進めており、感謝の言葉しかない」

――次世代に期待することは。

 「外資系のヤード業者の台頭に伴い、法を順守していないのではと思われるヤード業者が散見されるようになった。法整備が急務だ。それに伴い、我々も時代の変化に対応できる事業者であり続けなければならない」

 「貴重な資源を扱っている仕事に携わっていることに誇りを持ち、より自信を持って仕事に取り組んで頂きたい。さらに若手を中心にフレッシュさを工業会にもたらし、皆で業界を盛り上げてほしい」