平野浩一郎社長
平野浩一郎社長

 7月1日付で千葉金属の3代目社長に就任した。

 千葉金属は1951年に創業した非鉄金属流通で、黄銅棒などの伸銅品を中心にアルミ圧延品やステンレスを在庫し、切断・ローレット加工なども手掛ける東京地区の有力問屋だ。関東一円の拠点に加え大阪営業所や静岡営業所、上越出張所を活用してきめ細やかな顧客サービスを展開している。

 社長交代に先立つこと5年。世代交代を検討していた叔父の平野慎治前社長(現相談役)が、浩一郎社長に将来の千葉金属のかじ取りを打診。「創業家の人間が会社からいなくなるのは避けたほうが良いというのが周囲の意見であり、私自身もその思いがあった」とし、約26年勤務した伊藤園を辞して千葉金属に入社した。以来、将来の社長就任に向けて非鉄金属ビジネスを一から勉強した。ただ「幼少期から倉庫の近くに住んでいたので、非鉄金属は身近な存在だった」ようで、学生時代には千葉金属の倉庫業務のアルバイトで汗を流したという。

 社長就任に当たっては「叩き上げではなく業歴も短いため、まずは既存方針を引き継いで盤石な事業基盤を確立したい」と説明。その上で「〝会社の外〟にいた視点をもって改善を積み重ね、適正利益を出し続ける存在を目指す」と抱負を述べた。特に数量ではなく利益重視の考えを社員に浸透させていく考えだが、加工やデリバリーに磨きをかけて付加価値の向上を図る。「切断やローレット以外にも必要とされる加工は、協力会社と連携しながら対応したい。例えば重量のある材料は販売先で取り回しが困難という声がある。一次加工まで当社で手掛け、使いやすい形で提供できればデリバリー面でも顧客の負担を削減できる」とする。

 一方で課題は「人材の確保」ときっぱり。「いくらビジネスがしっかりしていても人材がいなければ存続できない」とし、若手の意見も取り入れて秋口にウェブサイトを刷新する計画。リクルート面でも効果を発揮できるような仕上がりにしたい考えだ。このほかにも加工設備の老朽更新を随時実施するほか、在庫管理システムの刷新も検討していく。

 高校時代は剣道に打ち込み、大学ではスキー、社会人になってからは海釣りに出かけることが増えた。「最近の休日は家族でキャンプやスキーを楽しんでいる」と笑う。(遊佐 鉄平)

略歴

 平野 浩一郎氏(ひらの・こういちろう)1993年立教大学経済学部卒、伊藤園入社。2019年千葉金属入社。代表取締役専務などを経て24年7月1日付で現職。1967年9月28日生まれ、56歳。東京都出身。