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鉄鋼ニュース

2017/03/13 06:00更新

16年の東南アジア鉄鋼需要、最高の7800万トンに増

東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)がまとめた2016年の主要6カ国における鉄鋼見掛け消費(速報値)は、前年比13%増の7800万トン弱となり、7年連続で過去最高を更新した。シンガポールを除いた5カ国で需要が増加し、ベトナムは初めて2千万トンを超えた。

ベトナムは約2割増の2200万トンとなり、1年で400万トン近く増加。2年連続でタイを上回り域内最大の需要国となった。能力増強を反映し、国内ミルの生産は2割増の800万トン超となったが、国産では賄い切れず輸入は300万〜400万トン増の1700万トンにまで拡大した。米国向けなどで輸出も100万トン増え、380万トン程度に達している。
タイは15%増の1900万トンとなり、3年ぶりに増加へ転じた。特に国内ミルの生産が23%増の800万トンに増え、輸入は100万トン増の1200万トン程度と、相対的に伸び率は低かった。タイ鉄鋼協会は市況上昇に伴う在庫積み増しを増加の主因とみており、実需がけん引したものとは受け止められていない。
インドネシアは1割増の1200万トン超。資源安の影響がやや緩和し2年ぶりに増加へ転じたものの、依然として力強さを欠いている。国内生産は5〜6%増の600万トン強、輸入は7%増の700万トン程度、輸出は数十万トン減り100万トンを割ったもようだ。
マレーシアは1割増の1100万トンへ伸び、過去最高を更新した。国内生産は経営破綻したメガ・スチールの操業停止で1割ほど減り400万トンを割ったが、輸入が100万トン以上増え840万トンへ拡大。輸出は26%減の100万トンだった。
建材需要が好調なフィリピンは11%増の900万トン台後半となり過去最高だった。国内生産は数十万トン、輸入は50万トン以上増えた。
シンガポールは25%減り、300万トンを割り込んだ。タタ製鉄系のナット・スチールをはじめとした国内生産は4〜5%増だったが、輸入が100万トン近く減少した。
需要増も追い付かぬ能力増強/日本ミル、輸出対応に限界
全体的に伸びている東南アジアの鉄鋼需要だが、域内に有力な鉄鋼メーカーは少なく、なお輸入材への依存度が高い。ベトナムなど国によっては地場ミルに能力増強の動きはあるものの需要増に追い付いていない状況だ。このため新日鉄住金やJFEスチールなど日本の高炉大手に寄せられる引き合いも増えているが、日本側にも熱延コイルなどの拡販余力がなく輸出での対応には限界が出始めている。
昨年のアセアン市場で最大の「誤算」だったのは、台湾プラスチックや中国鋼鉄(CSC)、JFEが出資するベトナムのフォルモサ・ハティン・スチール(FHS)が新設した高炉の火入れに至らなかったことだった。
今や2千万トンを超えるまでに成長したベトナムだが、これまでFHSのような大型製鉄所はなく、ここで同国初となる熱延ミルによって一定のホットコイルは自給化される方向だった。しかしFHSは環境認可の問題がくすぶり続け、本稼働は今年の下期となる可能性も出てきている。仮にFHSが稼働しても、同国で薄板リローラーの能力増強が進むことを勘案すれば、なお半分程度のホットは輸入に依存することが予想される。
東南アジアの域内ミルの泣きどころは構造的な上工程不足で、特に鋼板類ではその傾向が強い。タイのサハビリヤ・スチール・インダストリーズ(SSI)は熱延ミルこそあれ、英国事業の失敗で母材のスラブは日本をはじめ外部から輸入する必要がある。インドネシアでは国営のクラカタウ・スチールが熱延能力の増強を進めているが、経営状態が芳しくない同社の投資余力は高くない。
地場ミルの増産が進まない中、サプライヤーとして日本に寄せられる期待は高まっている。16年の日本の全鉄鋼輸出は1・1%減の4083万トンだったが、ことASEAN向けに限れば6・9%増の1326万へと増加した。
しかし供給がタイトな日本の高炉大手が、今のままでは伸びるアセアンの需要増に応え切れなくなる。すでに日本が捕捉し切れない分野では中国やインド材などの存在感がアセアンで徐々に高まっている状況だ。
歴史的に関係が深く、日本のホームマーケットとも位置付けられるアセアン鉄鋼市場と共に日本の鉄鋼各社は何ができるのか。FHSの稼働後も含め「次の一手」が求められている。(黒澤広之)

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